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EBPMという用語


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EBPMにおけるエビデンスとは

EBPMとは“Evidence-Based Policy Making”の頭文字をとった用語で、「証拠に基づく政策立案」と訳されています。しかしこの用語は様々な誤解を生みそうであるため、EBPMを構成する4つの単語について、その意味を考えてみたいと思います。
“Evidence”は昨今のデータ利活用の流れから、定量化されたデータを指すと思われがちですが、本来は広く定性的なデータも含んだ意味を持っています。エビデンスとして挙げられるものとして、①体系的レビュー・メタ分析、②ランダム化比較試験(RCT)、③コホート研究、④時系列研究、⑤統制群のある事例比較、⑥横断研究、⑦事例研究・プログラム・質的評価、⑧経済評価、⑨語りのレビュー、⑩ポリシーブリーフ・専門家の意見・科学的声明があることから、その広さを理解していただけると思います。
​​​​​​​また、①~⑩は、エビデンスとしての強さの序列を表しています。②は、例えば新薬の治験において、新薬を投与するグループと偽薬を投与するグループに分けて、その有意差を明らかにしたエビデンスを指します。これは非常に客観性の高いエビデンスと言えますが、公共政策では同じような試験が非常に難しいという特殊性があります。新たな政策を適用する地域と適用しない地域という選別ができるか、それらの地域の同質性を担保できるかなどといった点で現実的にはほとんど不可能です。そこで④が有力な手法になってきます。ある地域の過去と現在を比較するのであれば、地域性や住民の同質性は担保できます。過去のデータがない場合は、⑤として他自治体との比較を行うことが有力な手法になります。そこで重要となるのは同質性の担保で、人口規模・産業構造・地域性などを勘案して比較対象を選定しなければなりません。それも難しい場合に初めて⑦として、アンケートやヒアリングによる質的調査を行います。行政は質的調査に依存し過ぎるきらいがありますが、エビデンスとしてはそれほど強くないという認識を持っておいてください。ただし、公共政策においては質的調査によってしか測れないものも多くあることは事実です。⑩専門家の意見などはどんなに権威があったとしても、あくまでも主観的なものと認識されます。このように、弱いエビデンスを多用するほど“Episode-Based”になっていきます。

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https://lg-institute.gyoseiq.co.jp/blog/member/chief_12-2 ​​​​​​​



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自治体事例集

小出篤
小出篤
昭和50年、千葉県生まれ。システムエンジニアとして住民情報システムの開発・導入、コンサルタントとして市区町村における情報システムの最適化・投資の適正化・人材育成・計画策定を経て、地方行政経営研究所 フェロー、合同会社情報政策リサーチ&コンサルティング パートナー、Code for Kanoya 代表、自治体のDXアドバイザーなどを務める。公共政策修士(MPP)、経営管理修士(MBA)。
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